古Tシャツを玉ねぎで染め直すの巻。
最近心に常に携えているものがある。
それは何か。
鎌である。
…明らかに危険な答え。
違う、違うのだ。
誤解しないで欲しい。
最近育児で疲弊してはいるが、決して正気は失っていない。
通報はしないで欲しい。
どういうことかというと、常に刈りたい、「草が刈りたい」のだ。
…。
「何を言っているのだ、やはり正気を失ったか。哀れな。」と思われた方が多数だと思う。違うのだ。
つまりどういうことかというと、
現在僕は草木染めにはまっているということなのだ。
きっかけは昨年に鳥取の「アトリエ本家」さんの草木染めワークショップに参加させてもらったこと。
この会で、草木染めでは藍や紅花のような染色植物でなくても、様々な色に染めることができることがわかった。どんな植物も染料になりうるのだ。
そのことを知って以降、俄然植物に興味を持つようになった。
その辺の雑草を見ては「あれは染まるんじゃないか?何て植物だろう。刈りたいな。」という発想が湧くようになった。
花の名前も「パンジー」ぐらいしかわからず、植物の名前を覚えたり見分けたりするのは自分には一生無理だななんて思っていたのに、桜、椿、杉、檜、柿、蓬、ごくごく簡単なものから判別できるようになってきた。
興味が湧けば、人間あっという間に知識を吸収できるもんだと驚く。
しかし、正直最近行き過ぎている感もある。
美しく咲く九輪草を義父・義母・子ども達と見に行っても、
「あれ染まりそうですよね…?刈りたいですね…。」
などと突然言い出し、彼らを当惑させている。
人間にとっても植物にとっても、完全に警戒対象域の男だろう。
だって、心の自分はいつも鎌を装備しているんだから。
「染まるか、染まらないか。」の判断を第一基準に自然界を捉え、
「刈るか、刈らないか」の二択を常にジャッジしている。
スーパーに行っても「ナスは染まりそう。大根は染まらなそうだからダメ。」
などと、もはや料理ではない選別基準が買い物に入り込みつつあるぐらいである。
(九輪草は地域の力で保全活動が行われている植物、思っても決して刈ってしまいはしないので、ご安心ください。)
(当然、他人様の敷地のものを刈るなどという愚行は犯せないので「刈りたい」という欲求止まりです。)
そんな状態の僕だから、毎日のあるちっぽけなことが嬉しくってしょうがなかった。
そのあることとは、
「玉ねぎの皮をためること。」
毎日消費するキングオブ野菜であるオニオン氏。
調理する際にペリペリ剥く外皮を持つ彼。
なんとあの外皮が超強力な染料を生み出すというではないか。
ゴミだと思っていたあの部分が、だ。
毎日剥くのにワクワクしないわけがない。
ついつい多めに玉ねぎを切ってしまう。
毎日そんな有様だから、
あっという間にたまった。
さぁ、早速染色作業である。
子どもが寝た後夜な夜な起きてきて、
染液を煮出して、何を染めるかというと…
14年ほど前に古着屋で買ったお気に入りのTシャツである。
レモンイエローの綺麗な色だったが、14年間ですっかり褪色してしまっていた。
こいつをオニオン氏のパワーで再度甦らせようというのだ。
汚れを落とす精錬作業の後、染液に浸して、ひたすら煮てかき回す。
後ろ姿は完全に魔女、いや、女性じゃないので魔男。
色素を定着させる媒染液(ミョウバン)にまた浸してひたすらかき回す。
しっかり色がついたものを水洗いして出来上がったのが、
こちら。
こいつを乾かして…
オニオンイエロー、留置完了!オニオンイエロー、正常に動いてます!(何)
オニオン教授の草木染め手術によって、古Tシャツはオニオンイエローを纏い華麗なる復活を遂げることができた。オニオン教授のインパクトファクターは…
捨ててしまうような、普段目もくれかったものが、素晴らしい素材に見える。
ブログの書きぶりは完全に怪しい。
けど、草木染め(野菜染め)は本当に楽しい!
自分の生活には関係ないと思っていたもの、捨てるしかない不要物だと思っていたものが、途端に輝いて見える。
ぜひこの感覚を多くの人に味わってほしい。