主夫生活開始二週間。
「自分は子育ては向いているような気がする」と思っていた。
気がしただけだったことを妻と子ども達に謝罪したい。
もうびっくりするほど、毎日不機嫌で子どもに怒り散らしている。
どれほどか。
娘がアンパンマンのお絵描きボードに絵を描いた。
「お父さん!」
ほほう、お父さんか、嬉しいじゃないか。
丸い輪郭と目が書けていて、ずいぶん人っぽい絵が描けるようになったな。
「お父さんね、怒っとる。もー!って言っとる。」
泣きそうになる。
お父さんのイメージは「バイキンマン」から「怒っている人」になった。
主婦生活がどんなものか、わかっていたつもりだったけど、やっぱり全然わかってなかった。
子どもと四六時中一緒にいながら、生活を回すということの意味、妻のそばにいて理解出来ているつもりだった。
けど、実際やってみたらやっぱり全然違う。
「優しいお父さん」でいることなんて出来ない。
だって、
気がついたらお菓子を発掘して頬張っていたり、
うっかり二重ロックを書け忘れたら、外に出ようとしていたり…。
生活の中には「危ない!」「ダメ!」という場面が多すぎる。
勿論そうならないように環境を整えるのことが大事だってこともわかるけど、
慣れない生活の中で、すぐにそれができるほど余裕はないし、
物理的に不可能なこともある。
そんな中、
「みーちゃんがしたいの!!!!」と常時主張する2歳女児と
「キャァァァァーーーーーー!!!(あれ食べたい!!)」と金切り声をあげる大食漢の1歳児を前に、うまく受け流せずどうしても不機嫌レベルを高めていってしまうのだ。
子ども達と自分が笑顔でいるために。
食事、睡眠、遊び。
この三つがしっかりできていると、子ども達は落ちつく。
しかしだ。
食事は調理→盛る→食べさせる→片付ける→洗い物といった手順が発生する。
かなり手間がかかる作業だ。しかも、朝昼晩、加えて補食2回を要する。
彼らは異様によく食べるし、腹をすかす。
うっかり段取りをミスしたり、トラブルがあれば、
「キャアアアアアアアアアアアアア」
という金切り声が響き渡ることになる。
睡眠に関しては、下の子は朝寝と昼寝、上の子は昼寝を要する。
しかし、朝寝のタイミングでお姉ちゃんが寂しくてついてくる。
「シーーーだよ。ゆーくん寝るからね。」と伝える。
「わかった!」とみー氏が答える。
布団につく。
2分後
「ゆーーーくん!!!」と娘が雄叫びを上げながら、息子の枕元に飛びかかっている。
息子も興奮して起き出す。
不機嫌度MAX。
最後に遊びだが、「子どもを外に遊びに連れ出す」ということは、食事や睡眠のみならず、洗濯や掃除など生活のルーティンが滞留しない程度にできていて、荷物・弁当の準備もできていて…ということになる。
そんなパーフェクトにできるわけないが、ずっと家にいたらお互いとんでもない状態になるので、無理やり外出する。
するとどうだろう。
洗い物や洗濯物、掃除が後回しになるではないか!
あまりに生活ルーティンを溜めると、サイクルが破綻するので、なんとか早起きしたり睡眠時間を削ったりして頑張る。
するとどうだろう。
風邪をひいたりコンディション不良となり、不機嫌度があがるではないか!
子どものために生活ルーティンを段取り良く手早く済ませたいが、そのルーティンワークは子どもと一緒にいると驚くほど非効率になり、不機嫌度が増すという恐ろしいほどの相性の悪さ。
なんという無理ゲー。
2週間で得た結論
子ども達は勿論可愛い。
けど、
子育てに向いている人が「幼児二人と生活しながら『いつも優しい人』でいられる人」を指すのなら、「子育てに向いている人」なんてこの世に存在しない。
昔、妻に対して「なんでそんなに怒っているのかな…。」と思ってしまうこともあった。
今、謝りたい。
性別とか個人の性格や能力とか関係ない。
この状況に置かれて感情を揺さぶられずにいられる人間なんているわけない。
もしいるならば、その人は仏。多分もう解脱している。
まるで修行僧のような厳しい状況下の生活。
そんな中必死に皆が少しでも充実した時間を過ごせるように頑張ってくれていた妻及び、家事育児に従事されている全ての人への畏敬の念を抱きつつ、なんとか明日からの生活、頑張っていこうと思う。