封印されたボックス。【前編】
男には、無性にゲームをやりたくなる時代(とき)がある。
去年、これが実家から届いた。
下のクリアケースには、とある有名なゲーム機のソフトがしまわれている。
うっすらと見える無数のソフト達。
この特徴的なソフトの形を見たら、もうお判りだろう。
そう、
BANDAIが20世紀末に発売した携帯ゲーム機
ワンダースワンである。
クリアケースの中身は、残念ながらお見せできない。
先ほど初めてこのボックスの存在を知り、それはそれは丁寧に仕舞われているおびただしい数のソフト達を見た妻の一言は、
「え、なにこれ気持ち悪い!!」である。
笑い声混じりだったが、相当引いてしまっていた。
あまりゲームに触れてこなかった人からすると、ショッキングな映像なのだ。
マンガとゲームが大好きだった僕は、中学生の時にこのハードに出会った。
そして狂った。
狂ったように関連商品を買いまくった。
ただ買うだけではその情熱は収まらず、クラスメートに布教してユーザー数を増やすまでに至った。
信者。そう、僕はワンダースワンの信者だったのである。
毎日、ただただゲームをやっていた。そして、飽きたらマンガを読んでいた。
そしてマンガに飽きたらまたゲームに戻りという大変充実した日々を送っていた。
家族で沖縄に旅行に行った時、僕は空港でもホテルでもワンダースワンをやっていた。
高校入学後もワンダースワンのゲームを買い続けた。
大学の下宿にもこのクリアケース毎持って行った。
しかし、大学入学後にはこのゲーム機の新作ソフトは殆ど発売されなくなってしまっていた。
僕の情熱は行き所を失った。
しかし、ここでワンダースワンに点けられた火は消えなかった。
僕の精神は代替物を求め、当時流行の兆しをみせていたオンラインゲーム(MMORPG)の世界にはまり込んでいったのである…。
このオンラインゲームをやること3年。
ようやく僕のゲーム魂はなんとか燃焼し尽くされた。
足掛け9年。
実に長い期間だった。
しかしこの9年を経て大学4回生となり、妻と出会う頃にはゲームをほとんどやらなくなっていた。
これだけのゲーム野郎だった僕が、今はどうなっているのか。
ゲームにはまっていた自分と今の自分をみつめて、【後編】で少し分析してみようと思う。